新卒採用でダイレクトリクルーティングを活用する企業は年々増えています。特にOfferBox(オファーボックス)は、学生一人ひとりが詳細なプロフィールを登録し、企業のスカウトを受け取りやすいのが特長です。実際に、他のサービスと比べて開封率が高いといわれていますが、一方で「返信が来ない」「承諾率が低い」といった悩みを抱える企業も少なくありません。本記事では、弊社(Scout Base)がOfferBoxを活用し、開封率・返信率の向上を目指して取り組んだ具体的施策と得られた成果を紹介します。ターゲット設定やメッセージの作成ポイントなど、すぐに実践できるノウハウが詰まっていますので、ぜひ最後までご覧ください。【忙しい方のために要点まとめ】施策の主な成果と学びのポイント本記事では、OfferBoxの開封率・返信率向上のための詳細な施策と結果を紹介していますが、まずは主な成果と重要ポイントをお伝えします。主な成果開封率の向上:段階的な施策で高い開封率を維持(平均56%、フェーズによって71%~92%)返信率の改善:ターゲット絞り込みにより返信率UP辞退理由の変化:「業界・職種のミスマッチ」から「より詳細な条件不一致」へと質的変化成功の3つの鍵基本マッチング優先:業界・職種・勤務地・待遇の一致が最重要パーソナライズの深化:学生の自己PRを分析し、個別要素を盛り込む辞退理由の分析活用:データに基づいたターゲティング改善で効率的な結果これらのポイントについて、以下で詳しく解説していきます。OfferBoxの特徴と返信率が伸び悩む理由OfferBox(オファーボックス)の主なメリット学生の受信枠が限られているオファー(スカウト)を受け取れる数が制限されており、企業からのメッセージが埋もれにくい。プロフィール情報が豊富学生が学業・サークル・インターン経験などを詳細に入力するため、企業側が“人材イメージ”を把握しやすい。高い開封率が期待できる受信枠の制限や、学生が主体的に自己PRする設計の影響で、開封率が80~90%を超えることも珍しくありません。それでも開封率・返信率に課題がある理由競合企業が年々増加(2025年2月時点では、累計企業登録数:20,030社以上)ダイレクトリクルーティングが一般化し、多くの企業がOfferBoxを導入。学生一人当たりが受け取るオファー数が増え、「選ばれる難易度」が高まっている。就活時期の多様化早期化が進む一方で、検討段階の学生は返信を後回しにするケースがある。メッセージの質・ターゲットの不一致開封はされても、「自分向けだと思えない」テンプレート文面や、学生の興味分野とミスマッチした内容だと返信にはつながりにくい。弊社が実施したOfferBoxの開封率・返信率の改善施策施策の目的と概要Scout Baseは、以下の4点を目的とした改善施策を2月初旬~下旬にかけて実施しました。開封率の底上げOfferBoxは、他のスカウトサービスと比べると開封率は高いと言われていますが、利用企業の増加により開封率が下がっている企業も少なくないようです。弊社が学生に対して行ったインタビューでも、すべて開くわけではないという意見を多く聞きました。支援した企業様でも右肩下がりの傾向があったため、件名等の工夫を行いました。返信率(承認率)の底上げ開封率が高いメリットを活かし、いかに返信・承認につなげるかを検証しました。学生の興味を引く内容と、次のアクションを明確に示すことで承認へのハードルを下げる工夫を実施しました。ターゲット設定の精緻化学年や専攻・興味分野を丁寧に絞り込み、それぞれに最適化したメッセージを送る。特に、理系/文系、研究テーマ、インターン経験の有無などの要素を細分化し、学生の関心に合わせたアプローチを試みました。メッセージの最適化(件名・本文・送信タイミング)件名の文字数・本文の構成や送信曜日、フォローアップのしかたなどを複数パターンで検証を行いました。日別施策の詳細と結果Scout Baseが実施したOfferBox施策の日程と送信件数・開封率・辞退率の詳細は以下の通りです。フェーズ日付改善内容送付数開封率主な結果・分析初期段階2/5(水)〜2/6(木)基本メッセージでのオファー送付39件→65件92.4%→86%高い開封率を確認できたが、志望業界・職種のミスマッチによる辞退が多数。主な辞退理由:「志望業界ではない」「志望職種ではない」第一次改善2/12(水)志望業界・職種を貴社と合致するようにターゲットの絞り込み実施46件72%開封率はやや低下したが比較的高水準を維持。依然として「志望業界ではない」が辞退理由のトップであり、さらなる絞り込みが必要と判断第二次改善2/14(金)・ターゲットのさらなる絞り込み・オファー文章の大幅改訂・「学生の自己PRを分析した内容」を含めたパーソナライズメッセージ導入43件48%開封率は低下したが辞退数も減少。辞退理由が多様化し、単純な業界・職種のミスマッチは減少最終改善2/18(火)・ターゲットを最大限絞り込み・特定職種(営業・品質管理)に絞った送付・前回までの学習を活かしたメッセージ内容28件71%開封率が回復し、辞退理由が「企業規模」「待遇」など、より詳細な条件での不一致に変化施策全体の結果送付総数:222件全体結果開封率:56%(128件/222件)返信率:2.2%(5件/222件)辞退率:42%(95件/222件)未開封率:27%(60件/222件)開封のみ(無反応):29%(65件/222件)全体を通じた学習と成果改善の軸進化の流れ得られた知見ターゲティング汎用的な送付 → 業界・職種マッチ → 詳細条件マッチ → 職種特化・基本的なマッチング要素(業界 ・職種・勤務地・待遇)が最優先 ・精度の高いターゲティングは送付数を減らしても効率的メッセージ内容基本メッセージ → 学生情報の反映 → 自己PR分析の追加 → パーソナライズの強化・学生の興味関心に合わせたパーソナライズは効果的 ・基本的なマッチングができていることが前提送信戦略単純な送付 → 辞退理由の分析 → ターゲット再設定 → 効果検証・送信タイミングが開封率に影響 ・スカウトからの日数経過による開封率低下の可能性就活時期が早期化していることもあり、2月時点では仮説通り内定を保持している学生が多い。幅広い対象よりは、細かく絞った対象に送付することがベスト。今回の改善施策で得た知見時期により、得たい情報が異なるため、行動を予測したスカウト文やコンテンツ設計が重要今回に関しては、業界・職種・勤務地・待遇などの基本的なマッチングが最優先要素パーソナライズメッセージは、基本的なマッチング(職種やエリア)ができていることが前提送信タイミングが開封率に影響する可能性(スカウトからの日数経過による開封率低下)志望業界・職種と募集要件のミスマッチを最小化することが返信率向上の鍵精度の高いターゲティングは送付数を減らしても効率的な結果につながる◆必ず実施してほしい。辞退理由の分析弊社が個別インタビューを行なったOfferBox利用企業では、スカウトからの辞退理由の把握や分析を行っていないことが多く、何を改善していいかわからないという状況がありました。分析と改善には時間がかかりますが、必ず効果が出るアクションです。やりたいが手が回らない。やり方がいまいち分からない場合は、Scout Baseにご相談ください。まとめOfferBoxは開封率が高いと言われていますが、工夫なしでは高い開封率は難しいと考えます。また、返信率を伸ばすにはターゲット・文面の工夫が不可欠です。ターゲット・辞退理由を分析しながら、少数に絞ったパーソナライズが返信率向上のカギとなります。スカウトが届く体験が当たり前になっている現代では、どれだけ個別要素を盛り込めるかで、学生の反応が大きく変わります。まずはここからやってみようこれまで送ったスカウトの分析これから送るターゲットの絞り込み・スカウト文面のパーソナライズOfferBoxは、ダイレクトリクルーティング初心者にも取り組みやすい一方、実際に結果を出すにはターゲット選定・メッセージづくり・継続的なPDCAが欠かせません。いきなり多くを変えることは、ハードルが高いと思いますが2つなら実施しやすいと思います。本記事で紹介した弊社の実例とノウハウが、皆さまの運用改善に役立てば幸いです。Scout Baseでは、OfferBoxだけではなく様々な新卒媒体にも対応しています。ご相談等お待ちしております。